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KDDIと、大阪を拠点にタクシー事業などを手がけるnewmoが、2028年に大阪府堺市で自動運転タクシーを商用化する方針を明らかにした。背景にあるのは、全国のタクシー業界で深刻になっているドライバー不足である。高齢化で運転手が減る一方、観光客や高齢の利用者は増えており、需要に供給が追いつかない地域が目立つ。今回の計画は、通信大手が持つネットワークや運用の知見と、地域でタクシーを運行する事業者の現場力を組み合わせる点に特徴がある。実証実験の段階を越え、料金を取って走らせる商用運行を日程つきで示した点も大きい。

引用元: KDDIとnewmo、自動運転タクシー商用化 2028年に大阪・堺市で ドライバー不足に一手 - ITmedia Mobile(ITmedia)

分析・見解

実験から商用へ、2028年という日付が持つ重み

自動運転の話題は、これまで「実証実験を始めた」という発表が中心だった。今回は2028年の商用化という期限が示された。期限があると、車両の調達、保険、事故時の責任分担、遠隔監視の人員配置まで、すべてを逆算して決める必要が出てくる。実験なら止めて直せば済むが、商用では止まること自体が損失になる。つまり発表の価値は技術の新しさより、事業として責任を負う覚悟にある。

通信会社が運転の世界に入る本当の理由

自動運転車は、車に積んだカメラやセンサーだけで走るわけではない。遠隔の監視室とつながり、地図を更新し、異常時には人が支援する。ここで効くのが、途切れにくい通信回線である。KDDIは基地局網と運用ノウハウを持つ。走行中に回線が不安定になれば、車は安全側に倒れて止まってしまう。タクシーの価値は目的地まで確実に着くことなので、通信品質がそのままサービス品質になる。通信会社にとって自動運転は、回線の新しい大口利用先でもある。

堺市という舞台の選び方に見える現実的な読み

堺市は大阪市に隣接し、住宅地、工業地帯、観光地が混ざる。道路は広めで、交通量も極端に多くはない。東京都心のように複雑な交差点が連続する場所より、初期の商用化には向いている。一方で、公共交通の空白地帯や高齢化は現実に存在する。難しすぎず、しかし必要性は高いという条件がそろっている。これは米国のWaymoがまず広くて整った道路が多いフェニックスから展開したのと似た発想である。

本当の競争相手は他社の車ではなく人件費と時間

自動運転タクシーは、ドライバーを減らすための仕組みと見られがちだ。だが現実には、当面は遠隔監視員や車両の点検員が必要になる。人が不要になるのではなく、一人が複数台を見る形に変わる。採算の鍵は、一人の監視員が何台を担当できるかである。ここが改善しない限り、運賃は下がらない。2028年までの二年弱は、この比率をどこまで上げられるかを試す期間になる。

ビジネスへの影響

人手不足産業は、自社の仕事を機械向けに分解しておく

運転手の不足は、介護、物流、医療事務など多くの現場に共通する。今回の動きが示すのは、仕事を丸ごと機械に置き換えるのではなく、人が判断する部分と機械が繰り返す部分に分けるという考え方だ。介護ロボットや遠隔診療でも同じである。自社の業務を手順ごとに書き出し、どこが人でなければならないかを今のうちに整理しておくと、技術が実用になったときに素早く導入できる。

地域の足が変わると、店舗や施設の立地戦略も変わる

自動運転タクシーが安く使えるようになれば、駅から遠い場所でも人が来やすくなる。病院、介護施設、商業施設は、送迎バスを自前で持つ必要が減る可能性がある。逆に、送迎を差別化の武器にしてきた事業者は、価値を見直す必要がある。自治体と通信会社、運行会社が組む形も増えるため、地域で事業を営む企業は、そうした協議の場に早めに加わり、自社の需要データや要望を伝えておくと有利になる。

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